
浴室の寒さ対策を知りたい人必見! ヒートショック対策6つのポイント
2017/02/20
2019/11/19
冬になると温かいお風呂が恋しくなります。けれども、寒い脱衣所で裸になり、ブルブル震えながら冷えきった浴室に入ることを考えるとつい億劫(おっくう)になってしまうものです。脱衣所や浴室は、長時間過ごす場所ではないので暖房器具を設置していない家は多いでしょう。けれども、最近では暖かい部屋から寒い浴室に行き、さらに熱いお風呂に入ることで起きる「ヒートショック」の危険性が問題になっています。そのために、真剣に浴室の寒さ対策を考える人が増えているのです。
そこで、ここでは浴室の寒さの原因や自分でできる対策、今人気の浴室暖房機についての情報をご紹介しましょう。
この記事を読むことにより、お悩みだった浴室の寒さを解決する方法が見つかるでしょう。ぜひ、お役立てください。
1.浴室の寒さ対策について
浴室の寒さ対策をする前に、知っておきたい基礎知識をご紹介します。
1-1.浴室の寒さは危険?
暖房が効いている温かいリビングから寒い浴室に移動し、さらに衣類を脱いで裸になると急激に体が冷えます。けれども、「脱衣所や浴室が寒くても、すぐに熱い湯船に入るから大丈夫」という人は少なくありません。しかしながら、「部屋の暖かさ」と「浴室の寒さ」による急激な温度差は、体に大きな悪影響を及しとても危険なのです。最近、ニュースなどで耳にする「ヒートショック」とは、まさにこの温度差によって起こります。命を落とすこともある、ヒートショックとはどのような現象なのでしょうか。
1-2.ヒートショックとは?
「ヒートショック」とは、「家の中の急激な温度変化が体に及ぼす悪影響」のことです。以下のようなメカニズムで起こります。
- 暖房が効いた温かいリビングなどから寒い脱衣所・浴室に移動すると体が急激に冷える
- 体から熱が奪われないよう血管が収縮するので血圧が急に上昇する
- そして、熱い湯船に入ると交感神経が働き血圧がさらに上昇する
- 体が温まってくると血管が広がり血圧が急激に下降する
- 温まった体が寒い脱衣所で着替えているうちに冷え、体の熱を奪われないように再び血管が収縮して血圧が急上昇する
このように、血圧が急激に上昇すると心筋梗塞・脳梗塞・脳出血などの症状を引き起こします。また、急激に下降するとめまいが生じて浴室内で転んだり湯船でおぼれたりするのです。
1-2-1.ヒートショック〜こんな人・ケースは要注意!〜
毎年、冬になると「ヒートショック」による死亡事故のニュースを耳にします。東京都健康長寿医療センター研究所が行った調査(2011年度)によると、ヒートショックによる死者は年間1万7000人です。そのうち、80%は高齢者となっています。また、高齢者だけではなく以下の人・ケースもヒートショックを起こしやすくなるのです。
- 高血圧・糖尿病・動脈硬化など、生活習慣病の人
- 肥満気味の人
- 65歳以上の人
- 不整脈などがある人
- 「一番風呂」が好きな人
- 熱い風呂が好きな人
- 夜お酒を飲んだ後にお風呂に入る人
- 脱衣所やお風呂が寒い(暖房器具がない)
特に、入浴時の気温差が大きくなる12月〜1月は、ヒートショックで亡くなる人が多いので十分に対策を行うことが大切です。
1-3.浴室の寒さ対策の必要性
ヒートショックは未然に防ぐことが大切です。特に、「1-3.ヒートショック〜こんな人・ケースは要注意!〜」で挙げた人は、早めに浴室の寒さ対策を行ってください。心筋梗塞・脳梗塞・脳出血などは死に至らなくても、中高年〜高齢者の場合は回復が長引いたり生活に支障が出たりすることもあります。また、高齢者が風呂場で転倒し骨折したことが原因で寝たきりになったり認知症になったりなどのケースもあるのです。家族が安全に入浴を楽しめるように、浴室の寒さ対策をきちんと考えることが大切でしょう。
2.浴室の寒さの原因は?
冬になると、家の中では浴室が1番寒くなるという家は多いのです。その原因を探ってみました。
2-1.場所
一般的に、一軒家でもマンションでも日当たりがいい南側は常に家族がいるリビングルームになっています。そして、洗面所やトイレ、浴室などの水回りは北側にあるのです。そのため、冬場は特に気温が下がり寒くなります。
2-2.窓・換気
浴室は湿気が多いので、窓や換気扇が付いています。通気や換気のために必要なのですが、外からの冷気が入るために浴室内は冷えてしまうのです。特に、1枚窓の場合は外気が入りやすいだけではなく、暖めた空気を外に逃がしやすくなっています。
2-3.床材
最近の住宅では、ヒートショック対策のために冬場でもヒヤッとしない保温性のある床材を使用しています。けれども、少し古い住宅の場合は床にタイルなどを使っていることが多いので冬場は冷えてしまうのです。
2-4.暖房がない
脱衣所や浴室は家の中でも1番寒い場所にもかかわらず、暖房器具を設置していないご家庭が多いのです。
- 長時間過ごす場所ではないから
- 寒くてもすぐにお風呂に入るのだから我慢すればいい
- 脱衣所が狭いから暖房器具は置けない
- 人が常にいる場所ではないので、ストーブや温風機などは火事が心配
という理由が挙げられています。
3.浴室の寒さ対策
ヒートショックを防ぐためには、浴室の寒さ対策をすることが大切です。さまざまな方法をご紹介しましょう。
3-1.窓
浴室が冷える1番の原因は、窓から入ってくる外の冷たい空気です。以下の方法で防ぎましょう。
3-1-1.窓を閉める
入浴後の換気は、窓だけを長時間開けっ放しにするよりも、窓とドアの両方を開けて空気の出入り口を作り風を流すほうが効率的です。入浴する2〜3時間前には浴室の窓は閉めましょう。
浴室と暖房を使っている部屋が近い場合は、ドアを開けできるだけ家の中の暖かい空気を浴室に入れるようにしてください。
3-1-2.内窓
浴室の窓に「内窓」を作り、2重窓にして外の冷たい空気が入らないようにする方法があります。リフォーム業者に依頼できますが、日曜大工に自信のある人ならDIYで作ることも可能です。DIYで内窓を作る材料や方法は、インターネットでもいろいろ紹介しています。
3-1-3.断熱
密度の高い発泡スチロール素材のボードや、こん包用緩衝(かんしょう)材を窓ガラスに貼って、冷気を遮断(しゃだん)する方法です。窓ガラスの大きさにカットして、両面テープで窓に貼ってください。裏面に粘着シートが付いているタイプもあります。ただし、ずっと貼りっぱなしにしておくと湿気がたまりカビが発生するでしょう。時々外して乾かす必要があります。
3-2.換気扇
換気扇から浴室に冷気が入ってくるので、入浴する前や入浴中は止めましょう。入浴後、すぐに浴室のドアや窓を閉めて換気扇を回せば効率的に湿気を追い出すことができます。また、「浴室換気暖房乾燥機」なら浴室の換気と乾燥が1度にできるだけではなく、浴室を温めることもできるのでヒートショック対策には最適です。
3-3.床
タイル床材を使った浴室は、入った瞬間に足がヒヤッとします。そこで、冷たさを軽減するためには以下のような方法がおすすめです。
3-3-1.すのこを敷く
木のすのこを敷くと、足に直接伝わる冷たさがやわらぎます。置くだけでいいので簡単です。ただし、すのこはカビが生えやすいのでお風呂に入った後は壁に立てかけて乾かしましょう。週に1度は、風通しのいい場所で陰干ししてください。
3-3-2.床マットを敷く
浴室床専用のソフトな樹脂製マットも、すのこ同様足から伝わる冷たさを軽減してくれます。ポリプロピレン製で、ぬれても大丈夫なお風呂用の「畳」もあるのです。両方ともすのこ同様、使用した後は立てておくなどして乾かしましょう。
3-4.お風呂に入るときのひと工夫
浴槽の大きさや浴室の広さによっても異なりますが、お風呂が沸いたら入浴する5分〜10分前にフタを外しておくと浴室全体のヒンヤリ感がやわらぎます。また、浴槽のお湯を洗面器ですくい、床に数杯かけるのもいいでしょう。さらに、シャワーを高い位置に設置して、高温のお湯を5分〜10分ほど流すと床も浴室も温かくなります。
3-5.暖房
脱衣所に暖房器具を持ち込む方法です。小さくて軽量のセラミックファンヒーター・パネルヒーター・遠赤外線ストーブが適しています。入浴の30分〜1時間前にスイッチを入れておくと全体が温かくなるでしょう。暖房器具の周囲に燃えやすいものを置かないように注意してください。また、本格的に浴室の暖房を取り入れるなら、リフォームで浴室暖房機を取り入れるのもおすすめです。
4.浴室の寒さ対策〜浴室暖房機について〜
最近の住宅設備として人気があるのが浴室暖房機です。「新築物件に求める設備」の人気アンケートでも、浴室暖房機は3位以内に入っています。浴室暖房機とはどのようなものなのでしょうか。詳しくご説明しましょう。
4-1.浴室暖房機とはどのようなものか
「浴室暖房機」は、「浴室乾燥機」「浴室乾燥暖房機」と呼ぶこともあります。基本的には、スイッチ1つで素早く浴室や脱衣所に温風を送り温める機器です。また、使用後の浴室を乾燥する役目もあります。そして、浴室にパイプを取り付け洗濯後の衣類をハンガーでつるせば、衣類乾燥機として使用することもできるのです。
4-2.使う目的
浴室暖房機は、冬場のヒートショック事故を予防する機器としてここ数年来注目を集めています。いろいろな工夫をすることで、ある程度温度差を少なくすることはできても、根本的な改善にはなりません。浴室暖房機を設置すれば、脱衣所や浴室を温めることができるので温度差に悩むことも無くなります。ヒートショック対策はもちろんのこと、快適なバスタイムを家族全員で楽しむことができるのです。
4-3.主な機能、利便性
浴室暖房機は、大きく分けると「天井埋め込み式」と「壁かけ式」があります。また、熱源は「電気式」と「ガス温水式」があり、電気式はセラミックヒーター・ハロゲンヒーター・グラファイトヒーターなどの種類があるのです。さらに、エネルギー効率に優れたヒートポンプ式もあります。メーカーや機種によって詳細は異なりますが、以下のような機能があるのです。
- 予備暖房:冷えきった浴室をあらかじめ温めておく機能
- 入浴暖房:洗い場にいるときも体が冷えないように暖房
- 衣類乾燥:梅雨時期や悪天候時には衣類乾燥室として
- 浴室乾燥:湿気がこもった浴室を乾燥してカビを予防
- 涼風機能:夏場は暑い浴室に涼しい風を送る
5.浴室暖房機の設置、交換について
浴室暖房機を新しく設置・交換をするときの、費用や業者選びのポイントなどをご紹介します。
5-1.業者選びのポイント
業者を選ぶときには、以下のポイントをチェックしてください。
- 浴室や住宅設備などの販売や設置工事の専門業者
- 自分の住んでいる地域が工事対応エリア
- 商品や施工に関する知識や経験が豊富
- お客さまに最適な商品を提案してくれる
- メーカーの商品保証だけではなく工事に関する保証もある
- 無料見積もりサービスを行っている
5-2.浴室暖房機の費用は?
浴室暖房機を設置するには、本体価格と工事費が必要です。業者によっても金額は異なります。一般的には工事費は2万円〜4万円ですが、浴室暖房機の本体価格に標準工事費を含んでいるケースが多いのです。設置の状況や地域によっては追加費用が必要にもなります。まずは、業者に見積もりを出してもらいましょう。
5-3.注意点
希望する浴室暖房機が、自宅に対応できるか施工費がどれくらいになるかなどは、専門業者でないとわかりません。無料見積もりのときには詳しく状況を聞いて、最適な方法を選んでくれる業者に依頼するようにしましょう。
6.浴室の寒さ対策〜よくある質問〜
浴室の寒さ対策に関するよくある質問をご紹介しましょう。
Q.ヒートショックは、温度の変化で急激に血圧が上下することで起きると聞きました。何度くらいの温度差に気を付ければいいのでしょうか。
気を付けたいのは「10度以上の温度差」です。暖かい部屋と脱衣所などに温度計を設置すると目安になります。10度以上差がある日は、「3-4.お風呂に入るときのひと工夫」でご紹介したように、高温のシャワーで浴室を前もって温めるなどで十分に気を付けるようにしてください。
Q.高齢の両親がいます。入浴のときに気を付けることはあるでしょうか。
「3.浴室の寒さ対策」でご紹介した方法を実践してください。また、高齢者の方はできるだけ夕方までに入浴したほうがいいでしょう。日が落ちると急激に気温が下がります。さらに、入浴後はすぐに衣類を着ることができるように、衣類・下着・靴下は脱衣所にそろえておきましょう。全身を包むことができる大きさで、厚手のバスタオルを使うのもおすすめです。
Q.浴室の寒さ対策に、浴室暖房機を付けたいのですが月々の電気代が気になります。いくらかかるのでしょうか。
浴室暖房機の機種によっても異なりますが、平均的には1時間あたり20〜50円ほどになります。予備暖房+入浴暖房+乾燥で1日2時間使うとして、50円(/時間)の場合1日100円、1か月(30日)で3,000円ほどになるでしょう。
Q.浴室暖房機の電気代を節約する方法を教えてください。
お風呂に入るときには家族全員が続けて入るようにすると浴室暖房機を使う時間が短くなるので電気代の節約になります。また、送風口のフィルターにホコリがたまるとパワーが衰え電力の無駄使いになってしまうのです。こまめに掃除をしてください。
Q.浴室暖房機は、故障したらどこに修理を依頼すればいいのでしょうか。
基本的には取り付けた業者に修理依頼ができます。購入・取り付けを依頼するときには、アフターサービスや修理の条件などもきちんと確認しておきましょう。
まとめ
浴室の寒さ対策は、どのような方法があるのかがおわかりいただけたと思います。冬に増加中のヒートショックによる事故を未然に防止するためにも、寒さ対策は大切です。浴室の大きさや環境などは、いろいろあるのでご自宅にあった方法を選んでください。また、本格的に寒さ対策をするなら、今注目の浴室暖房機を取り付けるのもおすすめです。家族皆が安全に快適にバスタイムを楽しめるようにしてくださいね。