
ガス貯湯式給湯器の構造や特徴は? こんな場所で活躍しています!
2015/08/19
2019/06/14
給湯器とは、家庭や施設内にお湯を供給する設備のことです。キッチンに取り付ける小型のものから施設全体の給湯をまかなう大型のものまで、色々な種類があります。その中から、今回はガス貯湯式給湯器の構造などについてご説明しましょう。
一般家庭ではあまり使われることのないタイプですが、たくさんの人が一度にお湯を使う施設などでは大活躍をしているのです。ガス貯湯式給湯器を使用している施設の方や管理を任されている方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
1.ガス貯湯式給湯器とは?
ガス貯湯式給湯器とは、給湯器の内部にあらかじめお湯を沸かしてためておき、お湯が必要になったらそれを必要なところへ供給する仕組みの給湯器です。電気料金が安い深夜にお湯を沸かして給湯器にためておく「深夜電気温水器」の燃料がガスになったもの、と言えばイメージしやすいでしょう。
ガス貯湯式給湯器の構造はとても単純です。断熱効果の高い貯湯タンクの下にガスボイラーがあり、沸かしたお湯は給湯口からお湯を使う場所へと給湯されます。お湯が少なくなると給水され、タンク内の温度が下がったら再びボイラーが点火してお湯が沸くのです。
2.ガス瞬間湯沸器との違いは?
ガス給湯器と言えば、現在の主流はガス瞬間湯沸器です。では、貯湯式と瞬間湯沸器にはどのような違いがあるのでしょうか?
この項では、貯湯式と瞬間湯沸器の違いについてご紹介します。
2-1.湯量
瞬間湯沸器は、お湯を使うたびにガスでお湯を沸かすタイプです。お湯を貯湯する必要がない分、給湯器自体はコンパクトにできます。ですから、キッチンなどの狭い場所にも問題なくつけられるのです。しかしその反面、瞬間湯沸器は大型なものでも一度に沸かせるお湯の量に限界があります。ですから、大量のお湯を一度に使う場合は、水圧が下がったりお湯が出にくくなったりするのです。
貯湯式の方はお湯がなくなると新たに沸かすのに時間はかかるというデメリットがありますが、タンクにお湯がたっぷり入っている分、一度にたくさんのお湯を使っても問題ありません。
2-2.構造
ガス瞬間湯沸器に比べて貯湯式ガス給湯器はとても単純な構造をしています。貯湯式の歴史は古く、20世紀初めにはアメリカで使われていました。日本でも、戦前から輸入され旅館や病院などお湯をたくさん使う施設では重宝されていたのです。構造が単純ということは、故障もしにくいということ。ですから、瞬間湯沸器よりも長く使えることが多いのです。
さらに、配管が長くなっても問題がありません。ですから、ガス給湯器の設置場所も瞬間湯沸器よりも選べます。
2-3.大きさ
ガス貯湯式給湯器のデメリットのひとつは、その大きさです。内部にお湯をためておくので、どうしてもある程度の大きさが必要になります。ですから、一般家庭では置く場所がないということもあるでしょう。瞬間式湯沸器の場合は、とてもコンパクトですから集合住宅でも問題ありません。
2-4.燃費
ガス瞬間湯沸器の場合は、使うたびにお湯を沸かします。ですから毎日大量のお湯を使う場合はどうしても燃費が悪くなってしまうでしょう。逆に、貯湯式給湯器の場合はまず一度に大量のお湯を沸かしておきます。ですから、大量にお湯を使う場合は貯湯式の方が燃費がよいのです。しかし、いくら断熱効果の高いところにお湯をためておいても、どうしても冷めていきます。そうなれば、またお湯を沸かし直さなくてはなりません。ですから、貯湯量の割に使用量が少ないと、かえって燃費が悪くなるでしょう。
しかし、貯湯してあるお湯を使いきってしまうと、新しくお湯を沸かすのに時間がかかります。なので、貯湯式を使う場合は、使うお湯の量をある程度正確に把握しておく必要があるのです。
3.災害時にも安心
ガス貯湯式給湯器の場合は、一度お湯を作ってしまえばお湯を使いきるまでガスは必要ありません。ですから、災害が起きてガスの供給が止まっても、給湯器内にお湯がある限りは使えるのです。緊急時にお湯が大量に必要になる病院や介護施設などに設置しておくと重宝します。
4.現在ガス貯湯式給湯器が使われている場所は?
前述したようにガス貯湯式給湯器は、一般家庭ではあまり使われていません。ごくまれに古い住宅などで使われていることもあるでしょう。また、老朽化した場合は他のタイプの給湯器に交換するように勧められることも多いです。ガス貯湯式給湯器が活躍している場所は、一度にたくさんのお湯を使う病院や介護施設、ホテル、さらに美容院や理髪店。
また、貯湯式給湯器はほかのタイプの給湯器よりも設置費用が安いというメリットがあります。ですから、「できるだけ設備費用を抑えたい」という場合にもおすすめです。
なお、ガス貯湯式給湯器は配管をある程度長く作っても問題ありません。ですから、貯湯式ガス給湯器を設置する場合は、水が漏れてもよい場所に置きましょう。万が一給湯器の故障で水が漏れた場合、室内だと多量の水があふれたときに大変なことになります。
5.ガス貯湯式給湯器を設置した場合はどうしたらいいの?
ガス貯湯式給湯器を設置したいという場合は、ガス会社の直営ショップや家庭機器設備会社に依頼しましょう。瞬間湯沸器を取り扱っている会社より数は少ないですが、法人用として取り扱っていることもあります。
また、一般家庭でガス貯湯式給湯器が使えないというわけでもありません。家族がたくさんいて毎日お湯をたくさん使うという場合は、ガス貯湯式給湯器の方が燃費はよい場合もあります。ただし、一般家庭では同じ仕組みで電気の力を利用してお湯を沸かす深夜電気温水器の方が使いやすいこともあるのです。ですから、導入前に設備会社に相談してみましょう。
なお、ガス貯湯式給湯器を使う場合、伝熱面積が4平方メートル以上、水頭圧が1MPa以上の場合は取り扱うのに資格が入ります。ですから、施設が大きくてお湯を多量に使うという場合は、大型他の貯湯式給湯器だけでなくボイラー技士など有資格者が在職している必要もあるのです。大型のガス貯湯式給湯器の導入を検討している施設は注意してください。しかし、前述した規模以下の給湯器を扱うのに資格が必要ありません。
おわりに
今回はガス貯湯式給湯器の構造や瞬間湯沸器との違いについて、色々とご説明しました。
まとめると
- ガス貯湯式給湯器の歴史は古い。
- ガス貯湯式給湯器の構造はとても単純で、壊れにくい。
- ガス貯湯式給湯器はたくさんのお湯を一度に供給できるというメリットがある。
- ガス貯湯式給湯器を導入する場合は、どのくらいのお湯を使うのかある程度把握しておく必要がある。
ということです。古い映画やドラマなどで、巨大な給湯器からお湯を出すシーンを見たことがある方もいるでしょう。あれが、ガス貯湯式給湯器です。あれだけの大きさがあるのですから、現在の一般家庭に設置するのは少し大変かもしれません。しかし、施設が大きくてたくさんのお湯を使う場合は今でも大活躍しています。
技術が進歩した今では、外観は多少変化しましたが基本的な構造には変わりがありません。ですから、たとえ古くなっても「部品がないので修理できません」ということも少ないのです。
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