入浴中の事故が起きる原因は? 防止策や対処法なども徹底解説!

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近年、ヒートショックなど入浴時の事故が増加傾向にあります。特に、高齢者は体に大きな負荷をかけてしまうため、入浴事故の危険が常に潜んでいると思ってください。だからこそ、できるときにしっかりと対策を施すことが大切なポイントとなります。しかし、どうすれば未然に防ぐことができるのでしょうか。

本記事では、入浴事故が起きる原因や防止策などについて解説します。

  1. 入浴事故はどのくらい起きているのか?
  2. 入浴事故が起きる原因は?
  3. 入浴事故を防ぐためのポイント
  4. 入浴事故が起きたときの対処法
  5. 入浴事故に関してよくある質問

この記事を読むことで、入浴事故を未然に防ぐコツなどが分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。

1.入浴事故はどのくらい起きているのか?

まずは、入浴事故がどのくらいの頻度で起きているのか現在の状況をチェックしておきましょう。

1-1.入浴事故は交通事故よりも多い!?

毎日どこかで必ず起きているといわれている交通事故ですが、実は入浴事故のほうが件数が多いことが消費者庁の調査で分かりました。特に、高齢者の事故のうち、不慮の溺死および溺水による死亡者は年々増えている状態です。これらのうち、ほとんどが家または居住施設の浴槽における入浴中の事故となっています。さらに、11月~3月にかけて寒い時期に発生していることから、冬場が1年中で最も危険が高まると思っていいでしょう。2011年以降から入浴中の死亡者数は交通事故を上まわっている状態です。

1-2.入浴事故は日本特有の入浴形式が関係している

前述したように、入浴事故は年々増加傾向にありますが、シャワーが主流になっているアメリカやヨーロッパでは極めて少ない事故となっています。日本で入浴事故が多発しているのは、日本特有の入浴形式が大きく関係しているといえるでしょう。日本特有の入浴形式といえば、湯船にお湯をためて体全体を温めることです。しかし、浴槽につかることが入浴中の急病・急死につながる恐れがあります。

入浴事故は交通事故より頻繁に発生しているんですね。
はい。どのご家庭でも発生する可能性があります。

2.入浴事故が起きる原因は?

それでは、なぜ入浴事故が起きるのか主な原因を解説します。

2-1.血圧の急激な変化

入浴事故が起きる原因の多くは、血圧の急激な変化です。入浴に伴い、血圧は著しく変動することになりますが、寒い脱衣所と暖かい浴槽内の温度差が急激な変動を起こします。血圧が急激に上昇すると脳出血を起こすリスクが一気に高まるというわけです。その結果、血圧下降が脳・心臓・消化器官などの血流低下をもたらすことになり、脳梗塞や心筋梗塞の発症につながります。特に、高齢者は血行動態の変動に対する自律神経の反応が低くなっているため、入浴後に意識障害を起こしては溺死する恐れが高めです。

2-2.温度差によるヒートショック

気温の変化によって血圧が上下しては心臓や血管の疾患が起こることをヒートショックといいます。高齢者の入浴事故で最も多いのが、ヒートショックによる事故です。ヒートショックは、冬場に暖房の効いた暖かい場所から脱衣所に移動し、浴槽に入るときに起こりやすい傾向があります。リビングから脱衣所に移動した際は寒さに対応しますが、浴室へ入ると暑さに対応し血圧が急激に上下するというわけです。特に、10℃以上の温度差がある場所はヒートショックのリスクが高まるので注意しなければなりません。

2-3.脱水症状による熱中症

冬場はヒートショックによる入浴事故がほとんどですが、夏場は脱水症状による熱中症が主な原因となっています。熱中症=照りつける太陽というイメージを思い浮かべるでしょう。けれども、入浴中は脱水症状を引き起こしやすい状態で、常に毛穴から水分が失われています。そのため、しっかりと水分補給をしなければ脱水症状になり、熱中症のリスクが高まるというわけです。夏場の高齢者の入浴事故は、熱中症が8割だといわれています。入浴中に気分が悪くなったときは、すぐにお風呂からあがり、水分を補給することが大切です。

ヒートショックや脱水が主な原因なんですね。
はい。高齢者ほど事故が発生する可能性が高いんです。

3.入浴事故を防ぐためのポイント

それでは、入浴事故を防ぐためにどのような策を施せばいいのでしょうか。主な防止策とポイントを解説します。

3-1.すぐにできる入浴事故対策を紹介!

すぐにできる入浴事故対策を下記にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

  • 入浴前に脱衣所や浴室を暖める
  • 湯温は41℃以下、湯につかる時間は10分までを目安にする
  • 浴槽から急に立ち上がらないようにする
  • 食後すぐの入浴やアルコールが抜けていない状態での入浴は控える
  • 精神安定剤・睡眠薬などの服用後の入浴は控える
  • 入浴前に同郷者にひと声かける

消費者庁によると、入浴の事故は持病や前兆がない場合でも急に発生する恐れがあると警告しています。だからこそ、高齢者本人が注意すると同時に、家族も一緒になって事故防止を行うことが大切なポイントです。

3-2.入浴の仕方と時間に気をつける

長風呂かつ熱いお風呂が大好きな人ほど、入浴事故を起こしやすい傾向があります。前述したように、ぬるめの温度(約40℃前後)で長湯はしないように心がけましょう。また、1日の中で体温が上昇し血圧が安定する16~19時までの入浴が望ましいとされています。急に湯船につかると体がびっくりしてしまうため、湯船につかる前にかけ湯で体を慣れさせるのも大切なポイントです。そして、入浴前と後はコップ1杯分の水分を補給しましょう。入浴の仕方と時間に気をつけるだけで入浴事故を未然に防ぐことができます。

3-3.暖房器具を活用してヒートショックを防ぐ

冬場に起こりやすいヒートショックを防ぐ方法として、暖房器具を活用する方法があります。暖房器具を脱衣所で活用すれば、温度差をなくすることができるでしょう。温度差がなくなくれば、血圧の急激な変化を起こるリスクも低くなり、未然に防ぐことができます。ヒートショックを防ぐために、リフォームを行う方も増えているのでぜひ検討してみてはいかがでしょうか。改めて、家中のどこに危険が潜んでいるのか見直すことも大切なポイントです。

3-4.家族の見まわりを強化する

家族と一緒に生活している場合は、家族の見まわりを強化してもらうようにしましょう。入浴する前にひと声かけて気を使ってもらうようにすることが大切です。家族が入浴中であることを把握しておけば、万が一急病が起きたときにもすぐに対応してもらうことができるかもしれません。誰かが把握しておけば、未然に防ぐことができるようになるでしょう。家族同士で協力し合って、未然に防ぐことが大切なポイントとなります。

事故を防ぐポイントがいろいろあるんですね。
はい。できることを実践しましょう。

4.入浴事故が起きたときの対処法

入浴事故が起きたとき、一体どのように対処すればいいのでしょうか。

4-1.浴槽の栓を抜いて大声で助けを呼ぶ

自分の身に異変が起きた場合、すぐに浴槽の栓を抜いて大声で助けを求めましょう。湯船につかっているとき、「おかしいかも?」と異変を感じるかもしれません。少しでも異変を感じたときは、無理をせずにゆっくりと湯船からあがり、助けを求めることが大切です。余裕があれば、浴槽の栓を抜いて大声を出してください。大声を出すことで家族が気づいてくれるかもしれません。1人暮らしの場合は、近隣住民に異変を知らせることができるでしょう。最近は、1人暮らしの方が簡単に異変を知らせることができるように、緊急通報システムを導入する家庭が増えています。

4-2.入浴者をすぐに浴槽内から救出する

身内の人や知り合いなどが浴槽内で事故を起こしている場合は、すぐに浴槽内から救出してください。そして、できるだけ早めに救急車を要請しましょう。ただし、場合によっては、浴槽内から出すことができないときがあります。浴槽内から出せないようであれば、フタに上半身を乗せるなどして沈まないように工夫してください。浴槽から出せた場合は、肩をたたきながら声をかけて反応があるか確認しましょう。反応がない場合は呼吸を確認し、さらに呼吸がない場合は胸骨圧迫を開始します。人工呼吸ができる状態であれば、胸骨圧迫を30回、人工呼吸を2回くり返してください。入浴中の事故は、早期対応が重要なポイントとなります。

4-3.いざというときのために救命講習を受ける

前述したように、ヒートショックなどの入浴事故はいつどこで発生するのか分かりません。高齢者の発症リスクが高めですが、若い人でも起こり得る事故でもあります。だからこそ、いさというときのために救命講習を受けることが大切です。応急手当の正しいやり方をしっかりと把握しておけば、入浴中の事故だけでなくどのような事故でも迅速に対応できる可能性があります。救命講では、災害や事故などに置いてケガの手当や心肺蘇生(そせい)処置の方法を事前に学ぶことができる講習会です。いろいろな内容があり、東京消防庁や全国の市区町村の消防署で受けることができます。お住まいの地域で確認し、時間があるときに受講してください。

すぐに助けを呼ぶことが大切なんですね。
はい。また、浴槽のお湯を抜きましょう。

5.入浴事故に関してよくある質問

入浴事故に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.入浴事故防止に役立つ住宅設備は?
A.代表的な住宅設備は、暖房システム・給湯システム・浴室ユニットなどです。特に、最近では、浴室暖房や床暖房といった暖房システムを導入する家庭が増えています。両親と一緒に生活することを機会にリフォームをしたり、将来のために暖房システムを導入したりするのも入浴事故を防ぐ方法といえるでしょう。ほかにもさまざまな住宅設備があるので、専門知識を持っているリフォーム業者と相談しながら決めることが大切なポイントです。

Q.温熱作用と静水圧作用とは?
A.入浴に伴う物理的作用として、温熱作用と静水圧作用の2つがあります。温熱作用は、浴槽につかることで温熱により末梢血管が拡張し、血流が心臓・脳などから末梢血管に再分布することです。そして、静水圧作用は、体に水圧(静水圧)がかかり、静脈還流が増え血圧と心拍出量が増加することを指しています。臓器血流の再分布は高齢者にとって、虚血症状が生じる原因になるものです。浴槽内で急に立ち上がると静水圧が解除され心拍出量が低くなり、失神やめまいを生じることもあります。

Q.ヒートショックの影響を受けやすい人はどんな人か?
A.ヒートショックになりやすい人は65歳の高齢者です。特に、以下の項目に当てはまる人ほど、ヒートショックの危険が高まるといえるでしょう。

  • 高血圧や糖尿病など動脈硬化の基盤がある
  • 肥満・睡眠時無呼吸症候群・不整脈の傾向がある
  • 浴室に暖房設備が整っていない
  • 1番風呂や熱い風呂が大好き
  • 飲酒後にお風呂に入ることがよくある
  • 30分以上お湯につかることが多い

Q.食後低血圧とは?
A.食事の後にめまいや失神を起こす病気です。食後低血圧は食事をした約20分後から消化のためい血流が腸に集まり、脳への血流が保てなくなることから発生します。そして、過度に血圧が低下してはめまいや失神が起きやすくなるというわけです。特に、高齢者でパーキンソン病や糖尿病にかかっている人は自律神経系が衰えているため、食後低血圧が起こりやすいといわれています。だからこそ、食後すぐの入浴は非常に危険です。食後は入浴を控えるようにしてください。

Q.救急救命講習の内容は?
A.応急救護講習・救命入門コース・普通救命講習・上級救命講習などがあります。入浴事故に対応できるほどの力を身につけたいなら、応急救護講習で構いません。応急救護講習では、ケガの初歩的な応急手当を覚えることができます。胸骨圧迫やAEDの本格的な扱い方ややり方を身につけたい方は、救命入門コースを選ぶといいでしょう。お住まいの地域によって行っている講習が異なるため、入浴事故対応のために学びたい旨を伝えれば、最適な講習を提示してくれます。いざというときのためにも、自分でできることから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

ヒートショックなど、入浴の際の事故が頻繁に起きています。入浴の事故を防ぐためには、どんな事故が起きるのか原因をハッキリと把握することが大切です。原因を理解すれば、有効な防止策も実践できるようになるでしょう。たとえば、温度差を防ぐために暖房器具を使ったり、リフォームをしたりするなどです。また、万が一、事故が起きたときの対処法も把握しておけば、いざというときにも慌てずに対処できるでしょう。