
ガス給湯器の設置基準は? 知っておきたい安全のための決まり
2016/10/31
2019/11/20
給湯器の設置を検討する前に、設置基準について知っておく必要があるでしょう。給湯器は種類ごとに設置基準が決められており、守らないとトラブルが発生する可能性もあります。給湯器のトラブルは大きな事故につながる場合もあるため、確実な知識のもとで設置することが必要です。まずは、どのような基準があり、なぜその基準を守る必要があるのかを知り、正しく設置しましょう。
この記事では、給湯器の種類別設置基準や基準を設定する目的・法律にかんする問題などをまとめてご紹介します。業者の選び方についてもまとめてみました。
この記事を読むことで、どのような基準のもとで給湯器を設置する必要があるのかがわかります。安全に使用するために、ぜひ参考にしてください。
1.給湯器の設置前に
まずは、設置方法や設置場所について解説します。一戸建てとマンションの違いや注意点もまとめてみました。
1-1.屋外設置型と屋内設置型
給湯器の設置方法としては、主に「屋外型」と「屋内型」に分けられます。それぞれの種類や特徴をご紹介しましょう。
1-1-1.屋外設置型
屋外に設置するタイプで、さらに「壁掛け型」と「据え置き型」の2種類に分かれます。壁掛け型は建物の壁面に設置し、下側から配管を接続するものです。据え置き型は地面に設置するタイプで、機器の側面から配管を接続します。
1-1-2.屋内設置型
屋内設置型の場合、本体は屋内に設置します。「FF式」と「FE式」があり、内蔵されたファンで外気から空気を取り込み、排気ガスも屋外へ吐き出すのが「FF式」です。一方の「FE式」は、室内から空気を取り込み、排気ガスだけを屋外へ吐き出します。
1-2.設置場所はなぜ重要なのか?
給湯器を設置する場合は、まずどの場所への設置が可能であるかを考えなければなりません。種類によってその場所の設置に適する機器が異なるため「どこに設置するか」はとても重要なポイントになるのです。また、ガス給湯器には設置基準が定められており、誤った設置をすると思わぬ事故を起こす可能性もあります。
1-3.一戸建てとマンションの違い
一戸建てとマンションでも、適する給湯器の設置方法は異なります。戸建て住宅の場合は、浴室に近い場所に設置することが多いでしょう。壁を隔て、浴槽に隣接した屋外に据え置き設置することがほとんどですが、基本的には条件に当てはまれば自由に設置が可能です。マンションのような集合住宅の場合は、ベランダの外壁に設置する「屋外壁掛けタイプ」か「PS設置タイプ」が多くなっています。PS設置タイプは、玄関外にあるボックスに埋め込むように設置する方法です。マンションはスペースに限りがあるため、選択できる自由度で言うと一戸建てよりは少なくなります。
1-4.注意点
給湯器の買い替えを検討しているなら、今使っている給湯器と同じタイプのものを選ぶことをおすすめします。特にマンションの場合、パイプスペースを特定のメーカーサイズに合わせて作っていることが多いため、基本的には同じメーカーのものに交換することになるでしょう。
2.給湯器設置には基準がある!
では、設置基準の目的や準拠する法律にはどのようなものがあるのでしょうか。
2-1.設置基準とは?
給湯器はとても便利で生活に欠かすことのできない機器です。しかし、安全に使用するためには設置基準をしっかりと守る必要があります。設置基準で決められているのは、主に機器と排気口や壁までの距離についてです。安全に使用するために排気口や壁までどのくらい距離をとる必要があるのかが決められています。そのほかにも、ガス給湯器付近に置いてはいけない素材などについても決まりがあるため、必ず確認しておきましょう。
2-2.必要性と目的
設置基準はなぜ必要なのでしょうか。特にガス給湯器はガスを使用するため、誤った方法で設置をすると不完全燃焼などの事故が起こる可能性があります。実際にこのような事故が発生したケースは多く、一酸化炭素の発生による事故も少なくないのです。そのため、設置基準をしっかりと守り、家族全員が安心して暮らすことができるようにしておかなければなりません。
2-3.準拠する法律
給湯器の設置基準には、ガス事業法や建築基準法、消防法などが関連しています。さまざまな視点から給湯器を安全に使用するためにはどうしたらよいのかを考え、定められた基準であるということを覚えておきましょう。
3.給湯器の種類別設置基準
給湯器にはガスや石油、電気など種類があります。それぞれの設置基準にかんする詳細をご紹介しましょう。
3-1.種類別設置基準の詳細
給湯器の設置基準ではどのようなことが決められているのか、その詳細を種類別にご紹介します。
3-1-1.ガス給湯器
ガス給湯器の設置基準は、具体的に以下のようになっています。
- 機器上方は排気口より300mm以上、機器前方は600mm以上、機器後方は10mm以上確保する
- 機器前方にプラスチックや塗装などを置く場合は、不燃断熱材で保護する
- 窓のない場所に設置できているか確認する
- 窓がある場合は、周囲の建物開口部から上方は300mm以上、側方・下方は150mm以上離す
3-1-2.石油給湯器
屋外設置の場合は、機器から周囲の可燃物までの隔離距離を十分にとることが必要です。また、排気吹き出し口と建物開口部との距離を確保し、機器を囲わないようにしましょう。屋内設置の場合は、排気筒の吹き出し口と建物開口部との距離を確保すると同時に、排気吹き出し口が雪などで閉塞されないような位置に設置してください。
3-2.屋外・屋内の違いは?
屋外設置型と屋内設置型とでは、設置基準にも違いがあります。特に屋内設置型の場合は、室内環境を維持するために室内空気の給気や排気を行うことができるように基準が定められているため、しっかりとチェックしておきましょう。屋外設置型も、設置場所によっては周辺の窓などから排気が室内に流入し、一酸化炭素中毒による死亡事故につながる場合があります。設置状況によっては移設が必要になるということを覚えておきましょう。
3-3.注意点
給湯器の設置場所について迷ったときは、自分で判断せずに専門業者と相談することをおすすめします。買い替えで同じ場所に同じメーカーの給湯器を設置する場合は問題ありませんが、そうでない場合は自分で判断するのは難しいこともあるでしょう。給湯器の設置工事を行っている業者には知識と経験があります。設置場所を現地調査してもらうなどして、確実な場所を確保しましょう。
4.給湯器の設置基準を守らないとどうなるのか?
設置基準を守らなかった場合はどうなるのでしょうか。その危険性やトラブル例、間違った場所に設置した場合の対処法をまとめてみました。
4-1.なぜ危険なのか?
設置基準は、給湯器を安全に使用するために定められたものです。この基準を守って設置することで、給湯器を安全に使用し続けることができます。基準を無視してしまうと、室内の換気が悪くなるだけでなく、一酸化炭素が発生して火災や中毒死につながる危険も否定できないでしょう。そのため、設置基準は絶対に守るべきなのです。
4-2.放置した場合のトラブル例
では、設置基準を守らずに設置した給湯器をそのまま放置した場合、どのような事態が発生するのでしょうか。まず、中毒事故が発生する可能性があります。正しく設置していない給湯器から発生した排気が室内に充満し、室内にいた人が一酸化炭素中毒を起こした例も報告されているのです。そのまま意識不明や死亡にいたるケースもあるため、十分に注意しなければなりません。そのほかにも、排気口付近で可燃物が発火した例もあるということです。
4-3.間違った場所に設置した場合の対処法
間違った場所に設置してしまった場合は、すぐに移設するなどの対処が必要です。給湯器の設置を行っている専門業者に相談してみましょう。正しい知識を持った業者であれば、すぐに移設工事を手配してくれます。設置基準を確認した上で自宅の給湯器に不安を感じるようなら、業者に連絡してみてください。
5.給湯器業者の選び方
安心して給湯器を使い続けるためにも、設置を依頼する業者は慎重に選ぶようにしましょう。業者選びのポイントや注意点をまとめてみました。
5-1.業者を選ぶポイント
給湯器を取り扱っている専門業者は全国にたくさんあります。より信頼のおける業者を選ぶためには、以下のポイントをチェックしましょう。
- 実績が豊富である
- 高い技術力と知識を持っている
- 見積もりの内容が明確である
- スタッフの対応が丁寧でスピーディーである
- 法令を遵守している
5-2.トラブル対応について
給湯器はトラブルが発生することも多いため、どのように対応しているか確認しておくことも大切です。たとえば、メーカー保証は1~2年の業者がほとんどですが、5年以上の長期保証をしてくれる業者もあります。そのようなところに依頼すれば安心でしょう。業者独自の保証があるかどうか、必ずチェックしてください。
5-3.アフターフォローもチェック!
業者を選ぶ上でアフターフォローをチェックすることも大切です。どのようなアフターフォローをしてくれるのか、トラブルがあったときは無料で対応してくれるのかも要チェックでしょう。
5-4.注意点
給湯器の設置を行う専門業者の中には、悪徳業者も存在しています。そのような業者を選ばないために、見極め方を知っておきましょう。以下のような業者は選ばないようにしてください。
- 施工する人が資格を持っていない
- 法令を守っていない
- 飛び込み訪問で強引に契約をすすめる
6.給湯器の設置基準に関するよくある質問
「給湯器の設置基準について知りたい」という人が感じるであろう疑問とその回答をまとめてみました。
Q.設置基準を守っていれば給湯器はどこに設置してもよいのですか?
メンテナンスのしやすさや騒音への配慮も検討して場所を選ぶことが大切です。知識のある専門業者に相談して決めましょう。
Q.屋外型給湯器を屋内に設置するとどうなりますか?
不完全燃焼を起こすため大変危険です。絶対に設置しないようにしましょう。また、屋内用機器を屋外に設置するのも、機器内に雨水が浸入して故障の原因になります。
Q.給湯器を自分で設置することは可能ですか?
ガス給湯器は配管の調整もあるため、ガス事業法によって知識のある人が行わなければならないと決まっています。そのため、自分では設置しないでください。
Q.新しい給湯器を設置するのに、価格はどのくらいですか?
給湯器の本体価格に設置工事費用が加わります。設置工事の相場は20~45万円前後でしょう。給湯器本体の価格は、号数や種類によって差があります。
Q.悪徳業者とのトラブルが発生した場合はどうすればよいですか?
すぐに国民生活センターか消費者センターに相談してください。
http://www.kokusen.go.jp/
まとめ
給湯器を設置する際は、設置基準を守る必要があります。給湯器の種類によって設置基準は異なるため、しっかりと把握しておきましょう。ただし、設置基準については素人には難しい部分もあるため「自分ではよくわからないので業者にお任せしたい」という人は、信頼できる良心的な業者に依頼してください。業者選びにも注意が必要です。ぜひこの記事を参考にして、自分に合った業者探しをしましょう。そして、正しく給湯器を設置し、安全に使い続けてください。