薬草風呂の効果は? 自宅で楽しむ際のポイントや注意点も併せて解説

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「薬草風呂とはどんなものなのか?」「どんな効果が期待できるのか」など、薬草風呂について気になっている方は多いでしょう。薬草風呂は健康や美容に良いとされています。薬草の効果が実感できる薬草風呂は、自宅でも気軽に楽しむことができるのです。きちんと効果を知ることで、目的に合った風呂に入ることができるでしょう。

本記事では、薬草風呂の効能や自宅で楽しむコツなどについて解説します。

  1. 薬草風呂とは?
  2. 自宅で薬草風呂を楽しむには?
  3. 薬草風呂を楽しむときの注意点
  4. 薬草風呂に関してよくある質問

この記事を読むことで、薬草風呂を楽しむ際の注意点やポイントなどが分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。

1.薬草風呂とは?

まずは、薬草風呂とはどんなものなのか基本情報をチェックしておきましょう。具体的な効果についても解説します。

1-1.薬草を使用したお風呂

薬草風呂を簡単に説明すると、薬草を使用したお風呂のことです。日本では、端午の節句にショウブ湯を作ったり、冬至にはユズ湯に入ったりするでしょう。これらはすべて薬草風呂といわれているもので、日本では昔から親しまれてきました。薬草風呂は、薬草に含まれている精油成分がお風呂の湯に溶け出し、肌に刺激を与えます。その結果、血の巡りがよくなったり、新陳代謝を活発にしてくれたりという効果が期待できるのです。ほとんどの薬草にはタンニンが含まれているため、肌を引き締め肌荒れ防止効果も期待できるでしょう。

1-2.薬草風呂の歴史

薬草風呂は平安時代から続く歴史のある日本文化です。平安時代に弘法大師である空海が体のキズや疲れを癒やすために医療用の薬湯として設けたのが始まりだといわれています。戦国時代になると戦いで負傷した武士たちは、薬草風呂に入ってキズを癒やしたのだそうです。その中で有名な温泉地といえば、武田信玄の隠し湯でしょう。織田信長はポルトガルの宣教師に薬草栽培の進言を受けて薬草園を設け、栽培した薬草を風呂に使用したなどといわれています。江戸時代に入ると、入浴習慣は庶民にも広まり、ショウガ湯などの季節湯が一般的になりました。

1-3.季節湯に使われた薬草12種類

季節ごとに使われた薬草には、それぞれ特徴や由来があります。主な12種類の薬草は以下のとおりです。

  • 1月「松葉」:不老長寿の象徴として使われる松。縁起の良い樹木として正月飾りにも必要不可欠な薬草で、松には精油成分が多量に含まれている
  • 2月「大根葉」:冬野菜の大根にはビタミンAやB1・カルシウム・鉄・ナトリウムなどの成分が豊富に含まれている。冷え性や婦人病治療の民間療法として使うことも多い
  • 3月「ヨモギ」:草餅・草だんごの材料として使われることもあり、お灸(きゅう)としても使用される
  • 4月「桜」:桜湯に用いる樹脂には消炎効果が期待できる。湿疹(しっしん)や打ち身などの炎症をやわらげる目的で桜湯に入る習慣が生まれた
  • 5月「菖蒲(ショウブ)」:勝負や尚武にかけて武家の子どもの成長を願い菖蒲湯に入る文化が広まった
  • 6月「どくだみ」:漢方の世界では十薬と呼ばれているほど多くの効能を持つ。抗菌・消炎効果が期待できる
  • 7月「ももの葉」:消炎・解熱に有効とされ、虫さされや湿疹などによく用いられている
  • 8月「薄荷(はっか)」:ハーブの一種でメントール成分が爽やかなことから夏のお風呂に用いられるようになった
  • 9月「菊」:菊の香りは夏の疲れを癒やす効果がある
  • 10月「ショウガ」:辛味成分と精油成分が豊富で、お風呂に入れると体を温める効果が期待できる
  • 11月「みかん」:みかんの果皮に含まれるリモネンが体を温めてくれる
  • 12月「柚子」:冬至の日に柚子(ゆず)湯に入ると1年中風邪をひかないといわれている

2.自宅で薬草風呂を楽しむには?

それでは、自宅で薬草風呂を楽しむ方法とポイントを解説します。

2-1.薬草の作り方は3種類

まずは、湯船に入れる薬草を用意するところから始まります。薬草の作り方は、生のまま・乾燥させる・煎(せん)じる方法の3種類です。それぞれの作り方について説明しましょう。

2-1-1.生のまま使う場合

購入またはつんできた薬草をそのまま使う場合は、下記の流れで準備します。

  1. 薬草をザッと水洗いする
  2. 生のまま洗濯ネット(約20cm角の大きさ)に入れる
  3. 湯船に洗濯ネットを入れてからお湯を張る
  4. 終(しま)い湯でお湯を流し、浴槽を洗う

ちなみに、使用した薬草は1日で処分するのが基本です。薬草の種類によっては2日使えることもありますが、1日で使用したほうが薬草風呂の効果が実感できるでしょう。

2-1-2.乾燥させて使う場合

薬草を乾燥させて使用する場合は、下記の流れを参考にしてください。

  1. 薬草をザッと水洗いして乾燥させる
  2. ネット等に入れて湯船にお湯をためる
  3. 終い湯でお湯を流し浴槽を洗う

薬草を乾燥させてからの流れは生のままと同じですが、乾燥葉は粉になりやすいので洗濯ネットでは網目から出てしまう恐れがあります。そのため、洗濯ネットに入れるのではなく、手ぬぐいなど目が細かい袋に入れたほうがいいでしょう。手ぬぐいに乾燥させた葉を入れれば、お湯を葉カスで汚す心配はありません。

2-1-3.煎じて使う場合

薬草の中で成分が出にくいタイプは煎じたほうが効果をより高めることができるでしょう。煎じて使用する場合は、以下の手順を参考にしてください。

  1. ネットに入れた薬草を10分程度煎じる
  2. 液汁ごとお湯を張った浴槽に入れる
  3. 終い湯でお湯を流し、浴槽をしっかりと洗う

また、使った薬草は1日で処分することをおすすめします。できるだけ、無農薬の薬草を使ったほうが、高齢者や子どもにも安心して使うことができるでしょう。

2-2.市販の薬草を使用する

スーパーやドラッグストアなどでは、家庭で気軽に使うことができる市販の薬草が販売されています。すでにパックや袋に入っているものがほとんどなので、自分で乾燥させたり煎じたりする必要はありません。手間と時間をかけずに薬草風呂を使いたい方には、ぴったりの方法といえるでしょう。たとえば、約200Lにつき1包(50g)を入れるだけでOKです。中袋のまま浴槽に入れて少し浸した後、お湯の中で袋をやさしく手でもみましょう。時間が経過するほど薬草のエキスが出てくるため、家族人員が入っても効果が持続できます。詳しい使い方に関しては、パッケージに記載されている説明書きを確認してください。

2-3.家庭で使える薬草を紹介!

一体どんな薬草が使えるのか気になっている方は多いでしょう。そこで、家庭で使える薬草をいくつか紹介します。

  • 松の葉:常緑樹なので1年中使える。松の剪定時にまとめて乾燥させて生のまま、あるいは煎じて使うのがポイント
  • 椿(つばき)の葉:葉が硬いので煎じて使うのが良い。2~4月ごろの開花シーズンには椿の花びらを湯船に浮かべるのがおすすめ
  • ビワの葉:生のままあるいは煎じて使う
  • ヨモギ:生のままあるいは乾燥させて使う。アクが強いため、お湯は早めに流して湯船を洗うことが大切
  • ミント:生のまま、あるいは乾燥葉を使う。ミントの香りで気分もスッキリする
  • セイタカアワダチソウ:乾燥葉を使う。1週間天日干しで乾燥させるのがポイント
  • 大根の葉:乾燥した葉を使う
  • ショウガ・ウコンの葉:適当な長さにして生のまま使う
  • みかん・柑橘(かんきつ)類の葉:生のまま、あるいは乾燥させて使う

3.薬草風呂を楽しむときの注意点

ここでは、薬草風呂を楽しむときの注意点をいくつか紹介します。

3-1.長時間湯船に放置するのはNG

薬草風呂を使った後、そのまま薬草が入った袋やネットを放置するのはNGです。お風呂に入る直前ではなく、朝などに袋がつかるくらいのお湯を入れて浸しておくと長時間かけてエキスが抽出されるので効果をより高めることができるでしょう。ただし、エキスの濃い状態で長時間放置すると浴槽が着色する恐れがあります。スポンジでこすっても色が落ちないケースもあるため、なるべく長時間湯船に薬草を入れないようにしましょう。

3-2.量の入れすぎに要注意

薬草の中には、たくさん湯船に入れてしまうと肌がピリピリしてしまうものがあります。目安としては、200Lのお湯に約50gの薬草です。200Lは、一般的な家庭の浴槽に70%ほどお湯が入っている状態となります。50gを目安に湯船に入れるのがちょうどいいのですが、50g以上入れてしまうと逆効果になってしまうので注意してください。薬草風呂につかったとき、少しでも異変があればすぐに上がり、シャワーで体についた薬草の成分を洗い流しましょう。効果がありそうだから、と薬草を多く入れすぎるのはNGです。

3-3.無農薬の薬草を使う

薬草はお店でも購入できますが、できれば無農薬・自生・栽培したものを使ってください。どくだみなどの薬草は、川沿いの道ばたにも生えているので手軽に使用できるでしょう。しかし、道ばたには犬のおしっこなど何がかかっているのか分かりません。そこまで気にならない方はしっかり洗えば使うこともできますが、気になってしまう方は自分で栽培を始めるといいでしょう。栽培の際は、農薬を使わないのが1番です。無農薬の薬草を使ったほうが、精油成分が抽出でき、薬草風呂としての効果がより期待できます。

4.薬草風呂に関してよくある質問

薬草風呂に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.主な薬草の効能は?
A.主な薬草の効能は以下のとおりです。

  • カミツレ:神経痛・リウマチ・腰痛など
  • ショウブ:腰痛・冷え性など
  • タイム:肩こり・腰痛・冷え性など
  • ヨモギ:腰や膝の痛み・腰痛・肌荒れなど
  • ニワトコ:神経痛・冷え性など
  • ビワ:皮膚炎・あせも・湿疹など
  • イチジク:神経痛・痔(じ)・美肌効果など
  • ウド:腰痛・神経痛・関節痛・リウマチなど
  • アロエ:神経痛・リウマチ・関節痛など
  • 柚子:しもやけ・ひび・あかぎれ・腰痛など

Q.市販の薬草を使用する際の注意点は?
A.成分表を確認することが大切です。市販のものは何が入っているのか分からないので、成分表を確認し農薬が含まれていないか・化学成分が入っていないかなどをチェックしてください。どんな成分が入っているのか分からない商品は、なるべく避けたほうがいいでしょう。

Q.薬草風呂に入ってはいけないケースは?
A.薬草の中には、香りの効果が高いものがありアレルギー反応を起こす恐れがあります。たとえば、香りがとても強いヨモギは、キクアレルギーの人にはあまりおすすめしません。また、香りが癒やしの効果になるカモミールもキク科なのでキクアレルギーの方は使わないようにしましょう。さらに、イチジクをお風呂に入れる場合は、切り傷がただれる可能性があります。ケガをしている方は使用を控えてください。

Q.生薬浴用剤とは?
A.自宅で簡単に使える入浴剤のようなものです。生薬浴用剤には、生薬やハーブ類が何種類も含まれており、1包をお風呂に入れるだけで手軽に薬草風呂を楽しむことができます。浴槽の栓を抜いても簡単に処理できる点も大きなメリットです。商品によって薬草湯の成分が異なるため、どんな薬草や生薬が入っているのかチェックしておきましょう。中には、自然由来の成分だけでできているものもあるので、安心して使うことができます。

Q.薬草風呂で有名な施設・温泉地は?
A.兵庫県の丹波市にある薬草薬樹公園「丹波の湯」が有名です。トウキ・ボウイ・チンピ・マツブサ・モクツウ・ガイヨウ・ショウブ根など11種類の薬草を独自配合しています。自家製造の薬草を使っているので、安心して入浴できるでしょう。あせも・ひび・腰痛・にきび・肩こり・あかぎれ・疲労回復・リウマチなどの効果も期待できます。神戸薬科大学名誉教授が監修しているため、美容と健康にこだわりがある方にもおすすめです。

まとめ

薬草風呂の主な効果は、薬草によってさまざまです。薬草風呂の効果を実感したい方は、まず、どんな薬草があるのか・それぞれどんな効果があるのか知ることが大切なポイントとなります。薬草の効果や効能をしっかりと把握しておけば、自分の目的に合った薬草風呂を自宅で楽しむことができるでしょう。自宅で薬草風呂に入る際は、薬草を生のまま使ったり煎じたり乾燥させたりとさまざまな方法があります。また、気軽に使うことができる生薬浴用剤も市販されているため、手間と時間をかけずに楽しみたい方は、それらの商品を活用するのも方法の1つです。