高齢者が入浴事故を起こす原因を知ろう!安心して入浴できる方法は?

はてなブックマークに追加 Twitterでシェア Facebookでシェア

高齢者の入浴には十分な注意が必要です。ただのお風呂だからと甘く見ていては、入浴事故を起こしてしまいます。実際、高齢者の入浴事故は起きているのです。入浴事故を防ぐためにも家族である私たちがしっかり注意しておかなければなりません。

そこで、高齢者が入浴事故を起こす原因や高齢者が安心して入浴できる方法、入浴事故の対策について説明します。

  1. 高齢者が入浴事故を起こす原因
  2. 高齢者が安心して入浴できる方法
  3. 入浴事故の対策・注意点

1.高齢者が入浴事故を起こす原因

高齢者における不慮の事故は死亡原因5位に入るほど多いです。不慮の事故は交通事故だけでなく、大半は入浴による死亡事故になります。入浴事故を未然に防ぐためにも、「原因」を把握しておきましょう。

1‐1.入浴中の意識障害

高齢者の入浴事故は年々増加しています。入浴事故の原因はさまざまですが、多いのは入浴中の「意識障害」です。入浴している間に意識が飛び、おぼれて死亡したケースが非常に増えています。なぜ、入浴中に意識障害が起こるのでしょうか。

入浴中の意識障害は物理的作用が関係しています。温熱作用と静水圧作用が関係しているのです。お湯がはっている浴槽につかったとき、温熱作用が働きます。血流が活性化するため、体が一気に温まるのです。温熱作用が働く一方で、体には水圧がかかっています。体にかかる水圧こそ「静水圧作用」です。

静水圧作用が働くと血圧があがる、心拍数が増えることになります。高齢者によってとても負担のかかる状態になるのです。よって、失神やめまいが起こり入浴事故につながってしまいます。

1‐2.血圧の変動が激しい

入浴をする際に注意してほしいのが「浴室」と「脱衣所」の温度差です。入浴するという行為自体、血圧が変動しやすくなります。ほんの少しでも変動すれば体の弱い高齢者に大きなダメージを負ってしまうものです。

特に、寒い脱衣所から暑い浴室に入るときは注意しなければなりません。感じる気温の差によって血圧が急激に上昇するのです。血圧の急激な上昇は脳出血のリスクを高めてしまいます。

そして、入浴したときの急激な血圧下降によって脳梗塞・心筋梗塞のリスクも高まるのです。高齢者は非常にデリケートなので血圧の変動に敏感になっています。血圧の変動が激しい環境を改善しなければなりません。

1‐3.入浴時間やお湯の温度

高齢者の入浴事故は“入浴時間”や“お湯の温度”も関係しています。普通の人よりも高齢者は体の抵抗が弱まっていることを忘れないでください。基本的にお風呂の適温は38℃~40℃になっています。熱いお湯が好きだからといって43℃と熱いお湯は負担がかかってしまうのです。

さらに、熱い湯船+長い入浴時間は非常に危険な状態になります。入浴時間はお湯の温度が高ければ高いほど少なくしなければなりません。適温での入浴になれば時間は10分間になります。長時間の入浴は体に悪影響を与えてしまうので注意してください。特に、体が弱い高齢者の場合は注意が必要です。

意識障害を起こして意識を失って溺死することもあるんですね。
はい。また、血圧の急激な変化が引き金になることもあります。

2.高齢者が安心して入浴できる方法

2‐1.温度差のない環境にする

高齢者の入浴事故を防ぐには、“安心して入浴できる空間”にしなければなりません。ヒートショックを起こしやすい脱衣所と浴室の温度差をなくしましょう。温度差が激しくなるほど高齢者にとっては危ない空間になってしまいます。温度差のない環境にするため、リフォームをする人も増えてきているのです。脱衣所が寒くなる冬は暖房器具を利用して温めておきましょう。

また、浴室に暖房を設置する方法もあります。ヒートショック対策としては温度差をなくす努力が必要です。高齢者は危険に対する意識が低くなっているため、家族の声かけも大切になります。入浴中は頻繁に様子をうかがう、「気持ち良い?」「大丈夫?」と声かけをしてくださいね。様子がおかしい場合はすぐにあがるよう指示が大切です。あがるときは急に立ち上がらないよう誘導してあげると良いでしょう。

2‐2.お湯の温度を低くして入浴時間は短く

高齢者の入浴事故は「入浴時間」と「お湯の温度」に関係していると説明しました。よって、安心して入浴するためにも入浴時間とお湯の温度に注意してください。高齢者におけるお湯の温度は38℃~40℃と一般的な適温です。40℃以上には設定しないよう意識しましょう。たとえ、高齢者が熱い湯船好きでも安全を重視することが大切です。

そして、入浴時間10も分以内に抑えておきましょう。長湯が大好きでも家族が声で呼びかけてください。高齢者が安心して入浴できる方法は、家族の協力が必要不可欠ですよ。

温度差をできるだけ小さくすることが大切なんですね。
はい。そして、長湯は可能な限り避けましょう。

3.入浴事故の対策・注意点

3‐1.食後・深夜・早朝には入浴しない

入浴事故を未然に防ぐためには“入浴するタイミング”も大きなポイントになります。入浴するタイミングは食後・深夜を避けてください。体の中に食べ物を入れると血糖値があがります。血糖値が上昇したままの入浴は非常に危険です。入浴は血圧上昇するにも関わらず、血糖値があがると体に大きな負荷がかかります。

そして、深夜の入浴もNGです。足元が不安定になるのはもちろん、気温が低くなります。体に大きな負担をかけて体調が激変しやすくなるのです。入浴事故対策のためにも、食後・深夜の時間帯は避けましょう。

また、早朝も控えてください。早朝の入浴事故は高齢者だけでなく、中高年や若い人にも起こっています。体が完全に起きていないうちの入浴は非常に危険です。

3‐2.高血圧症や心肺の疾患を持っている人は半身浴

高齢者の中には高血圧症・心肺の疾患を持っている人がいるでしょう。病気や症状を持っている人は肩までの入浴を避けてください。肩までつかるのではなく「半身浴」がおすすめです。半身浴のほうが体への負担が少なくなります。もともと、肩までつかる入浴法は心臓や体に大きな負担をかけてしまうものです。

確かに、肩までつかったほうが体は温まるでしょう。しかし、病気になっている高齢者は体への負担を余計に感じてしまいます。入浴事故を防ぐためにも、半身浴を家族がサポートしてあげてください。

また、気温が低くなる冬場は夕方などできるだけ早めの入浴が好ましいです。夜が深まるほど気温が低くなるため注意してください。

入浴する時間も気を配る必要があるんですね。
はい。また、高血圧や心疾患を持っている人は、半身浴がおすすめです。

まとめ

高齢者が入浴事故を起こす原因や安心して入浴できる方法、入浴事故の対策や注意点について説明しました。高齢者には安心して入浴してほしいですよね。入浴事故は家族の協力があってこそ成り立ちます。高齢者が入浴しているときはできるだけ様子を伺うなど、しっかりチェックしてあげてください。弱っている体へ負荷がかからないよう、家族が注意しておきましょう。

  • 入浴中の意識障害が原因
  • 血圧の変動が激しくなる
  • 入浴時間やお湯の温度が不適切
  • 温度差のない環境にする
  • 入浴時間を短く、お湯の温度を低くする
  • 食後や深夜の入浴を避ける
  • 高血圧症や心肺の疾患を持っている高齢者は半身浴にする

以上のポイントを踏まえつつ、高齢者をお風呂に入れましょう。しっかり知識を身につけて家族が注意しなければなりません。注意喚起を促すことで、高齢者の入浴事故を防ぐことができます。高齢者が安心して入浴できる環境になっているかどうか、あらためてチェックしてください。そして、危ないところを改善していきましょう。