【解説!】温熱蕁麻疹とは? 原因や対処法・予防のポイント
2016/03/09
2022/02/02
運動をした後や入浴した後に皮膚にかゆみや湿疹が出る。このような症状でお悩みではありませんか? こうした症状はもしかしたら、熱湯蕁麻疹が原因かもしれません。頻繁にかゆみや湿疹が出るのをそのままにしておくと、皮膚に負担がかかって肌荒れも起こしやすくなります。肌の状態を健康に保つためにも正しく対処することが大切です。
そこで今回は、熱湯蕁麻疹の症状や原因、対処方法などを解説します。
- 温熱蕁麻疹の基礎知識
- 温熱蕁麻疹が出やすいのはどんなとき?
- 温熱蕁麻疹の原因は?
- 温熱蕁麻疹を発症しやすいのはどんな人?
- 皮膚科での治療が必要なケース
- 温熱蕁麻疹を予防する方法
- 温熱蕁麻疹に関するよくある質問
- 温熱蕁麻疹まとめ
この記事を読めば、急激な温度変化から皮膚を守る方法がよく分かります。運動や入浴の後にかゆみや湿疹が出て悩んでいる方は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.温熱蕁麻疹の基礎知識
はじめに、温熱蕁麻疹の原因や症状を紹介します。
1-1.温熱蕁麻疹は温度が原因で発症する
蕁麻疹は、何らかの刺激によって皮膚にあるマスト細胞が刺激され、細胞内に蓄えられているヒスタミンが放出されてかゆみや湿疹ができる症状です。マスト細胞が刺激される原因はさまざまですが、お湯に浸かることも刺激になります。温熱蕁麻疹とは、お湯の刺激が原因となる蕁麻疹のことです。
1-2.温熱蕁麻疹は非アレルギー性蕁麻疹
蕁麻疹は、花粉やハウスダストなどがアレルゲンとなって起こるアレルギー性のものと、単なる皮膚が刺激を受けたことによって起こる非アレルギー性があります。温熱蕁麻疹のほとんどが非アレルギー性であり、お湯に浸かれば必ず出るものではありません。ストレスがたまっていたり、抵抗力が弱っていたりすると発生しやすくなります。
1-3.温熱蕁麻疹はかくと広がりやすい
温熱蕁麻疹は腫れや湿疹、かゆみなどが主な症状として現れます。かゆいからといって皮膚をかきむしると、それが刺激になってさらに蕁麻疹が広がることもあるでしょう。
2.温熱蕁麻疹が出やすいのはどんなとき?
温熱蕁麻疹は、肌が熱を持つと現れる蕁麻疹です。では、どのような状態のときに現れやすいのでしょうか? この項では、その一例をご紹介します。
2-1.皮膚の一部が急激に温まったとき
寒いときは、暖房器具のすぐ近くで暖を取ることも珍しくありません。最近の暖房器具は、温風が出るものが多く、それが肌に当たるとその部分だけ急激に体温が上昇します。そうなると、蕁麻疹が発生しやすくなるのです。
温風だけでなく湯たんぽやカイロなど、体に密着させて使う暖房器具でも同じ状況が起きやすいでしょう。
2-2.いきなり温かいお風呂に入ったとき
全身が冷え切った状態で温水に浸かると、皮膚表面の温度が急激に上がります。すると温熱蕁麻疹が出やすくなるのです。風呂上がりに体が赤く、強いかゆみが出るという場合は温熱蕁麻疹が出ている可能性が高いでしょう。
また、同じように寒い屋外から急に温かい室内に入ったときにも温熱蕁麻疹が出やすいです。敏感な人ですと、温かい飲み物を飲んだ後にも出る場合があります。
2-3.運動をした後
運動をすると、体温が上がります。特に、冬は運動をする前と運動後では皮膚表面の温度が大きく変わるでしょう。すると、温熱蕁麻疹が出やすくなります。冬に運動をすると体がかゆくなるという方は、温熱蕁麻疹が出ている可能性があるのです。
3.温熱蕁麻疹の原因は?
温熱に限らず、蕁麻疹は皮膚の血管周辺にある肥満細胞が刺激されてヒスタミンという物質が出ることによって発症します。血管は温度によって開いたり縮んだりしまうので、その動きが肥満細胞を刺激するのです。ですから、温熱蕁麻疹だけでなく寒冷蕁麻疹というものもあります。
4.温熱蕁麻疹を発症しやすいのはどんな人?
4-1.アレルギー体質の方や冷え性の方
蕁麻疹は誰でも発症する可能性がありますが、アレルギー体質の方や冷え性の方が特に発症しやすいでしょう。
アレルギー体質の方は、温熱蕁麻疹の原因となるヒスタミンが出やすいためです。また、冷え性の方は常に皮膚が冷えているので、ほかの人よりも低温で蕁麻疹が出やすいでしょう。
4-2.乾燥肌・敏感肌の方
このほかにも、乾燥肌・敏感肌の方も温熱蕁麻疹が出やすいといわれています。
4-3.赤ちゃんや高齢者
温熱蕁麻疹はどの年代でも発症する可能性がありますが、赤ちゃんや高齢者に多い傾向があります。
たとえば、赤ちゃんは冷やしてはいけない、とつい厚着をさせがちです。体温調節がまだうまくできないので、温度差が激しい場所に行くと体温も変わりやすいでしょう。その結果、かゆみが出て激しくぐずることもあります。
また、高齢者の場合は、加齢から肌の温度調節がうまくいかず乾燥肌になりやすいため、蕁麻疹になりやすい状態です。
5.皮膚科での治療が必要なケース
この項では、皮膚科で治療を受けたほうがおすすめの症状を紹介します。
5-1.お湯につかる度に症状が出る
温熱蕁麻疹は非アレルギー性の蕁麻疹なので、お湯が皮膚にかかっても出るときと出ないときがあります。お湯に浸かったり体温が急激に上がったりするたびに蕁麻疹が出るようならば、一度皮膚科で詳しく皮膚の状態を診察してもらいましょう。
5-2.蕁麻疹をかき壊してしまった
蕁麻疹が出たとき、皮膚をかき壊してしまうこともあります。爪には雑菌がついているので、傷口がジュクジュクしたり、それがまたかゆみを持ったりすることもあるでしょう。こうなると、完治が長引くだけでなく跡が残ることがあります。特に、幼児は力任せにかきむしってしまいがちなので、傷口がじゅくじゅくしてきたらできるだけ早く皮膚科を受診しましょう。
6.温熱蕁麻疹を予防する方法
温熱蕁麻疹の予防方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
6-1.皮膚の温度を急激に上げないようにする
温熱蕁麻疹は、皮膚の急激な温度上昇によって発生します。ですから、皮膚の温度を急激に上げないようにしましょう。たとえば、暖房の温風や湯たんぽ、かいろなどを直接肌に当てないようにするだけでも効果はあります。
また、冬に屋外に出る場合はできるだけ露出を少なくして、肌の温度低下を防ぎましょう。さらに、寒い屋外から帰ってきたら、暖房に近づきすぎないように注意してください。
6-2.浴室を温めておく
冬のお風呂は、浴槽内と洗い場の温度差が激しい場所でもあります。特に、築年数がたった広い家の場合は、浴室が家の北側にあることが多いでしょう。隙間があって洗い場が寒いということも珍しくありません。ですから、温熱蕁麻疹が出やすい方は一番風呂を避けたり浴室を温めてから入浴したりしましょう。脱衣所に小さなヒーターを置くだけでも、体の冷えは防げます。
また、寒い屋外から帰ってきてからすぎに熱いお風呂に入らないようにしましょう。これは、高血圧の人にも同じことがいえます。温度差が激しいほど、血管の収縮や拡張も激しくなり血圧が急激に上がりやすくなるのです。すると、浴室で脳出血や脳こうそく、さらに心筋こうそくなどが起こりやすくなります。これを「ヒートショック」といい、特に高齢者は気をつけなければなりません。飲酒してすぐの入浴も危険です。
6-3.運動は体をほぐしてから行う
寒い屋外で急に激しい運動をすると、体温が一気に上昇します。ですから、まずはストレッチをして筋肉をほぐすとともに、体温を緩やかに上げていきましょう。
また、短時間で汗をたくさんかくような運動よりも、長時間やってうっすらと汗をかくくらいの運動がお勧めです。
特に、スキーなどのウィンタースポーツには要注意。滑っているときは温かくても、リフトに乗ると急激に体が冷えてしまうことが多くより蕁麻疹が出やすくなります。ですから、ウィンタースポーツを楽しむ場合は、保温効果の高い下着をつけるなどしてできるだけ体温の低下を防ぎましょう。えりや足首のしまった下着をつけるだけでもだいぶ違うのです。
7.温熱蕁麻疹に関するよくある質問
この項では、温熱蕁麻疹に関する質問を紹介します。
Q.蕁麻疹はある日突然発症することもあるんですか?
A.はい。体調や皮膚の状態によって急に発症することもあるでしょう。
Q.入浴による刺激で発症する蕁麻疹を防ぐにはぬるめのお湯のほうがいいですか?
A.はい。浸かっているうちにぬるくなったら追い焚きをしてもいいでしょう。
Q.蕁麻疹によってかゆみが出たらどう対処すればいいですか?
A.かゆい部分を冷やすのもいいでしょう。
Q.温熱蕁麻疹を出にくくする方法として保湿は有効ですか?
A.一定の効果は期待できるでしょう。
Q.若く健康な人でも温熱蕁麻疹が出ることはありますか?
A.はい。体調不良のときや過度の飲酒なので体力が弱っているときに出やすいでしょう。
温熱蕁麻疹まとめ
今回は温熱蕁麻疹の原因や予防方法を紹介しました。くり返し発生することの少ない蕁麻疹ですが、急な皮膚の温度変化を避ければ予防できます。お風呂に入る度にかゆがったり皮膚が赤かくなった利する場合は、病院を受診しましょう。また、温度変化をゆっくりにすると蕁麻疹を予防できます。
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